小さな幸せ
私はシニアです。というと、なんだか開きなおっているようですが。何が言いいたいかというと、もう働く人ではないということ。シニアでもリタイアしてなければ働いている人もいるでしょう。私は二年前にリタイした身である。朝は6:30に起き、夜は22:00には就寝する。おまけにナイトライフなどとも縁がない。春樹流に言うと「農耕民族的な生活」を送っているのである。でも時々昔働いていたころのことが懐かしく思い出される。或る日のこと。夜九時に仕事を終えて帰宅したときのこと。と言っても何か事件が起きたわけではないけれど。静かな秋の夜である。家に近づくと玄関まわりの庭の草むらにすだく虫の音が聞えてくる。それらはコオロギだったのかそれとも鈴虫だったのか。まるで私の帰りを迎えてくれているかのようにすだいていた。玄関を開けると「おかえり」と妻の声が聞えてくる。静かな夜に聴く虫の音とやさしい妻の声。それは疲れて帰ってきた私にちいさな喜びをもたらせてくれた。それはちいさなちいさな幸せだった。昭和のナツメロ大橋節夫の歌にあるように、「ちいさなちいさな倖せはここに」の思いを胸のなかにしまいながら私は「ただいま」とだけ言って家に入ったのである。大橋節夫の「倖せはここに」は現在YouTubeでも聴くことができます。
by satouhiroakipalet
| 2019-09-02 17:12